chocolate mint

***


パシャ、パシャ、パシャ……



雨がフロントガラスに叩きつけられる音を聞きながら、マンションまでの家路を急ぐ。



結局……あんなに早く帰りたいと思っていたのに、解放されたのはもう明け方近かった。



香織ちゃんは、まだ眠っているだろうな。



玄関を開けて、しんと静まりかえったリビングを抜けて自分の寝室へと足を踏み入れた。



「…………えっ」



疲れすぎて夢でも見てるのかな……



僕のベッドに……香織ちゃんが横になっているように見えるんだけど。




「……香織ちゃん。寝てるの?」




囁くように声を掛けてみたけれど、閉じた目は開く気配がない。



その寝顔を見ていると、意識していなくても、昨日の甘い記憶が蘇ってくる。



ふらふらと誘われるように、ベッドの縁に腰かけ、柔らかな髪を撫で上げる。



ふわっと鼻をくすぐる柑橘系のシャンプーの香りに、ドクリと心臓が音を立てた。


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