chocolate mint
シンクに目を移すと、端にビールの缶が置かれていた。


何かを作っていたり、買って来た形跡も無い。


……何も食べずにビールだけ飲んだ?



しかも、二缶一気に?



それじゃあ二日酔いにもなるって。



きっと、まだ水分も摂れないくらい頭が痛むんだろうな……


そう思って苦笑して、起きた時に何か食べるものがあった方がいいよな、なんて考えながら缶を持ち上げた瞬間…………背筋を冷たいものが走り抜けた。



香織ちゃんは、滅多に家でお酒は飲まない。



そういう時は、大抵何かがあった時。



……男関係で、何かショックな事や悲しい事があった時。



気まずいとか、そういう事じゃなくて、もしかして自分が思っている以上に香織ちゃんはショックを受けているのだとしたら……?




「……僕のせいで?」



思わずポツリと呟いた言葉だったけど、真実のような気がした。

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