chocolate mint
自分は……もしかして、取り返しのつかない事をしてしまったんだろうか。
ついさっきまで思い出すだけでしあわせを感じていた出来事が、急速に色を失っていく。
強引に踏み込んだのは僕だけど、行為の最中は確かに香織ちゃんは僕の事を求めてくれていた。
気持ちが通じ合ったって、そう思っていた。
だけどもし、香織ちゃんが僕と寝たことを……後悔しているんだとしたら。
***
そのまま暗くなっても、香織ちゃんは自分の部屋から出て来なかった。
僕が自分の寝室に行った時だけ、キッチンの方で物音が聞こえたりトイレに立ったりっていう気配を感じる。
……気まずいどころの話じゃない。
明らかに避けられているのが分かった上で、顔を合わせて話掛けるほど、図々しくもなれなかった。