chocolate mint
***



「ーー葉山さん。葉山さん。……葉山さん!!」



「……えっ?あっ?あぁ……悪い、瀬尾。……どうした?」




「……『どうした?』じゃないですよ。どうかしてるのは葉山さんです」



はぁ、と目の前で大袈裟にため息をつく瀬尾。



「有紗さんから怒りの電話が入ってましたよ『裕介はまだ店にいる?ずっと待ってるんだけどって言っといて』って。……何か約束でもしてたんですか?」



その言葉にはっとする。



「瀬尾、今何時?」



「オープン勤務の僕が休憩を取りに来たんですよ。……って事は今何時か分かりますよね?早番であがった人が、30分以上もここでぼんやりして……ほんと、何やってるんですか」



ーーって、16時過ぎか!マジで!?



「うわっ、ごめん、瀬尾っ。お疲れ!……わっ!」



驚いて、弾けるように立ち上がった瞬間、テーブルの上に置いていた鞄がずり落ちて、中身を床にぶち撒けてしまった。



「あー、あー、あー……葉山さんらしくないなー。……ほんと、どうしちゃったんですか」



心配していると言うよりは、半ば呆れた視線を向けながら、瀬尾が散らばった鞄の中身をかき集めてくれた。


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