chocolate mint
「もうコースもメニューも決まったでしょう?それに、さっきからずっと二人で話してるじゃないですか。これ以上、僕がいる必要は無いと思います」



「大切な用事があるんです。今日はもうこのまま帰らせて下さい」



焦る気持ちを押さえて、できるだけ丁寧に状況を説明したつもりだった。



だけど、その言い方が火に油を注いだのか、有紗さんは明らかに眉を吊り上げて怒った表情になった。




「いる必要があるかどうかは、私が決める事よ!大切な用事だろうが、何だろうが、あんたの都合で今帰る事は許さない!」



「大体、コースもメニューもまだ全然納得がいってない!決まってないんだから!!」



その言葉に、青木さんが目を見開いた。



当たり前だ。今の今まで二人で話し合っていたメニューを、僕を引き留める為だけに『納得がいかない』って切り捨てたんだから。



青木さんを差し置いてオーナーのようにふるまい、今までの話し合いを無かった事にしようとするその態度が許せなかった。



……もういいや。馬鹿馬鹿しい。



こうしている間にも、香織ちゃんは苦しんでいるのかもしれないのに。



仕事は大切だし、時には何かを犠牲にしないといけない事だってあるかもしれないけど、この仕事は僕のプライベートを割いてまでするようなものじゃない。


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