chocolate mint
「……まだ何も決まっていなかったんですか?」
「あんなに時間をかけて話し合っていたのに?」
怒りはとっくに覚めて、諦めたような、呆れたような乾いた笑いが自然と喉の奥から込み上げる。
「……だったら、このまま話を続けたってどうにもならないんじゃないですか?」
ククッと喉を震わせて笑いながら冷ややかな視線で見下ろすと、有紗さんは一瞬ビクッと肩を震わせてたじろいだ。
「……青木さんも、そう思いませんか?」
ドアに向けていた身体をテーブルの方に向けて、ゆっくりと青木さんに視線を移す。
眉間に皺を寄せた表情はいつもと変わらないけれど、その視線は僕と有紗さんの間を忙しなく行ったり来たりしていた。
……動揺させたみたいで悪いけど、あなたが中途半端な気持ちで有紗さんを受け入れていなければ、今こんな最悪な状況にはなっていなかったはずだ。
自業自得だと思うし、この先もこんな状態なら、僕はあなたと一緒にパートナーとしてこれから働いていける気がしない。