chocolate mint
完全降伏。


僕が犬だったら、お腹の方まで巻き込むようにぐるんと尻尾を丸めながら、がっくりと項垂れているくらいに情けない状態だろう。


そんな歯向かう気力も無い状態の僕に、悪魔は容赦なく止めの一言を放った。



「裕介。香織が具合が悪くなったのって、アンタが原因だからね」



「……っ」



……予想していたとは言え、はっきりと僕のせいだと言われて、身体からはみるみるうちに血の気が引いて、顔はひきつるように強ばっていった。



「紫、それはー」


「香織は黙ってて」





「……じゃあ、私はこれで帰るから。後は二人で話しなさい」



何か言いかけた香織ちゃんの言葉まで容赦なくぶった切って、悪魔はそのままズカズカと玄関へと向かって行った。


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