chocolate mint
「……紫ちゃん、帰るの?」


たぶんこのまま叱り(蹴り)飛ばされるんだろうと覚悟を決めていたのに、あっさり帰ると言われて、引き留めるつもりも無いのに、つい『帰るの?』と聞いてしまっていた。


「裕介。ほら、鍵」


呆然としている僕の手元に鍵が降って来た。


……って、何で紫ちゃんが僕の鍵を持ってるんだよ?!



「そうだ、裕介。これ以上中途半端な事したらビンタぐらいじゃ済まないからね。アンタはもう既に約束破ってるんだからね!分かった?!」


驚き慌てる僕に向かってビシッと指を差しながら、まるで女優のように決め台詞を口にした悪魔に向かって、今度は香織ちゃんが「えー?!」と大声をあげて驚いていた。


「あっ!……まぁ……何て言うの?今のは……えーと、そう、そう!言葉のあや、ってヤツよ」



……よく分かんないけど……たぶん、香織ちゃんには僕が今怒られたのとは全く逆の方向で話をしていたんじゃないだろうか。


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