chocolate mint
「……えっと、えっと……もう中途……半端な……」


信じられない事に、見事に『大切な人』の部分だけスルーされて、そこで言葉がピタリと止まってしまった。


その目は、『もう思い出せません。頭の中は真っ白です』と思いっきり僕に訴えている。



……嘘だよね?



この状況で、あんなに気持ちを込めて真剣に話した言葉を、肝心な部分だけ全く頭に入っていないって、(しかも他は全部合ってるって!)どういう事?!



「……その前だよ!もー!!わざと?!わざと言ってるでしょ?……って……え、えっ?!」



焦る僕の目の前で、何の前触れもなく香織ちゃんがいきなり泣き出した。


両目から涙が溢れ落ち、頬を流れ切った雫が香織ちゃんの膝の上で握りあっていたお互いの両手に滴り落ちていく。



「……ごめんなさい」




「ちょ、ちょっと待ってよ!別に責めてる訳じゃ無いから、謝らないで」



「でも……私、自分の事ばっかりで」


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