chocolate mint
もう泣かなくていいよ。



今まで、ちゃんと気持ちを伝えて来なかった僕が悪かったんだ。



……僕はどうして香織ちゃんに『好きだ』って伝える事をこんなに躊躇っていたんだろう。



気まずくは……なっていたかもしれないけど、彼女はそんな事で態度を変える人じゃないって分かっていたのに。



受け入れてもらえなくたって、今までの関係が変わったって、その瞬間から僕の事を嫌いになる訳じゃない。



いつもみたいに笑ったり、怒ったり、拗ねたりしているその顔を……やっぱり僕は、いちばん近くで見ていたいんだ。



今までみたいに素直な感情を僕に向けて欲しくて、軽口を叩いたりちょっと意地悪な表情をしたら、じとっとした目線で責められた。



そんなちょっとしたやり取りだって、もうできないと思っていたから余計に嬉しくて。



口元には自然と笑顔が浮かんで、香織ちゃんの頭を小さな子どもにするようにゆっくりと撫でてしまっていた。


< 154 / 175 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop