chocolate mint
「ねぇ、裕介。香織、大丈夫かな」
今日も飲んでいるうちに僕の肩に寄りかかって眠ってしまった香織ちゃんが起きるまでの間、姉弟でのんびりと飲みながら待っている。
これもいつもの事だけど。
最初のうちは気を許してくれているんだと嬉しかったこの時間が、最近は酷く切ない。
紫ちゃんが話題にしているのは、奏一くんと志帆さんの結婚式の事だ。
「香織ちゃんが、ヤケにならないといいけどね」
「今でも充分ヤケになってるでしょ。だんだん付き合うスパンが短くなってるじゃないの。気を紛らわそうとしてるとしか思えないわ。本人が無自覚だから、余計にタチが悪いのよ」
もちろん奏一くんが結婚するからヤケになっているのでは無くて、奈緒子ちゃんが結婚式を区切りにして純くんの気持ちに応えようとしているのを知っているから、紫ちゃんは心配なのだろう。
決して二人の関係に不満がある訳じゃない。奈緒子ちゃんも純くんも幼なじみで大切な友達だから、しあわせになって欲しいとは思っている。
だけど、二人が結ばれたのを見て香織ちゃんはどんな気持ちになるだろう。
できればその時は側にいて支えてあげたいって、僕はそう思っているのだけど。