chocolate mint
「いらっしゃいま……」
「裕介さん、こんにちは」
15時を回ってすぐに、彼女はやっぱり今日もやって来た。
今日はずいぶん早いな……と、心の中でため息をつきながらも顔には笑顔を貼り付けて迎える。
「こんにちは。席にご案内しますね」
「うん。いつもの所でお願いします」
彼女の名前は知っているけど、名前で呼んだり、こちらから常連さんのような扱いをするとますます調子に乗るので、避けるようにしている。
なるべく関わりたくはないんだけど、僕以外の人が接客するとあからさまに不機嫌になるから、仕方なく僕が担当している。
駅ビルのショップで販売員をしていると言っていた彼女の服装は、いつも可愛らしい。
だけど『女の子』だと押し付けがましいほどアピールしているその子の感じが、僕はどうしても好きになれなかった。
和希さんには「出禁にしてもいいよ」と言われているけど、そこまで迷惑をかけられている訳じゃないし、面と向かって好意を伝えられた訳でもないので、そこまでしていいのか迷っているのが正直な気持ちだった。