chocolate mint
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彼女は、いつも何かに対して怒っていた。
練習を真面目にやらない後輩に、
それを注意しないチームメイトに、
時にはキャーキャー騒いで練習の邪魔ばかりして困らせる連中や、それを放置している先生に至るまで。
そんな彼女をこっそりと影で『鬼』と呼びながらも表だって誰も非難する人がいないのは、彼女が誰よりも真面目で練習熱心で、真剣にバスケに向き合っているからなんだろう。
170センチを越える長身。
凛とした立ち姿。
柔らかそうな黒髪をキュッと纏めたポニーテールを揺らして走り回るその姿にみとれて、憧れている下級生(主に女子)がたくさんいる事も知っていた。
バレンタインのチョコレートだって、下手したら奏一くんと同じくらいもらってたんじゃないかな。
そんな彼女に「あんまり強気だと刺されちゃうよ」なんて忠告した事もあったけど、紫ちゃんと一緒に話をしていたついでに話したってだけで、実はそんなに心配はしていなかった。
強気な崎山先輩は、そんなトラブルなんて全く気にしていないように見えたから。