chocolate mint
「何泣きそうになってんのよ。……あー!もう!香織があんだけ落ち込んでるのに、あんたはのんびりニコニコしてばっかりだし!!」
「私の弟だったら、こんな時『俺が忘れさせてやるよ』って、あの場で抱き締めてチューするぐらいできないの?!情けないわね!」
……いやいや、『私の弟』がそんな事できる訳無いって分かってるよね。
『俺が』『忘れさせてやるよ』って……。
もう、それ僕じゃないでしょ。違う人じゃん。
「……まぁ、それができたらとっくにやってるか。香織もさ、さっきのあんたと全く同じ事言ってたわよ。もう別れたんだから、バカの名前が間違ってたってどうでもいい事なのにね」
「あんた達って本当に似てるよね。……自分が傷ついても、傷つけられても文句も言わずにグッと堪えてさ。優し過ぎて、損してばっかりなんだから」
「……で?あんたはどうすんの?また傷ついてるって自覚も無い香織の事を中途半端に慰めて、中途半端に側にいるだけ?……いつまでも自分の心に嘘ついて、友達のフリして」