chocolate mint

「さっきの話も、どれだけ覚えてるのかな。起きたら何も覚えて無かったら、ほんと困るんだけど」


「それはさすがに無いでしょ。私が結婚して、再来週からあんたと二人きりで同棲なんて聞いたら、いくら香織でも忘れる訳無いわよ。でも……さっきの香織の目、面白かったわー。動揺しまくり。あれって完全にストーカーに怯える人の目だよね」


「……弟の事、ストーカー呼ばわりするのだけは止めてくれないかな」


「似たようなもんでしょ?だってあんた香織が付き合ってた男の顔、全員知ってるじゃない。揃いも揃って、全員見事に見た目がいいだけのバカ男達、ね。見るだけ見といて自分は何にも動かないなんて、ストーカーか変態だけでしょ」



……その言葉、そっくりそのまま返すよ。



当時恋人がいた亘さんを、ストーカー並の執念で落とした事を僕は知っているからね。


僕が動かない変態だとしたら、紫ちゃんは行動的な変態だよ。


もちろんそんな事を口に出してしまった瞬間に、僕は血を見る事になってしまうだろうから、心の中でそっと呟くだけだ。
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