chocolate mint
奏一くんにキャプテンを任されてからの僕は、人知れずいつもプレッシャーと闘っていた。
チームメイトや後輩達が口に出すことは無いけれど、『何か違うんだよな』っていう空気をいつも感じて、その度に言い様の無い不安を覚えていた。
僕は本来人見知りだし、場を盛り上げるタイプでもみんなの先に立つタイプでもない。
こうやって逃げてばっかりなのも、ダメだって分かってるんだけどな……
ため息をついて俯いた顔を上げたその時、ポンと後ろから肩を叩かれて、思わず「うわっ!!」と驚きの声を上げてしまった。
「……崎山先輩?」
振り向くと、自分と同じように目を丸くして驚いている崎山先輩が立っていた。
「……ごめんね。そんなに驚くと思わなかったから」
「……いや、考え事してたから。こっちも……変に驚き過ぎちゃってごめんなさい」
恥ずかしい。めちゃくちゃ恥ずかしい。
絶対に今、ビクッってなってたよ……。
「……崎山先輩も様子見に来たの?」
赤くなった頬をごまかすように少しだけ顔をそらしながら聞く。