chocolate mint

……あ、また吐きそうになってきた。


「……あー、怖っ。あんた、絶対その顔香織に見せちゃダメだわ」

あっ、紫ちゃんがいるの、すっかり忘れて自分の世界に入っちゃってた。


ごほん、と咳払いをして気持ちを落ち着かせる。


……僕にとっては、ある意味ストーカーよりも恐ろしいこの人が本気で怖いと思ってるみたいだから、この感情は絶対に香織ちゃんの前では封印しなくっちゃ。


「うん。絶対見せないから大丈夫。問題はね、二人暮らしになった時に、僕の理性がどれだけこの状況に耐えられるかって事だけだから」


「あんた、絶対中途半端に香織に手ぇ出すんじゃないわよ。出すんなら香織があの男の所に戻れないように、しっかり逃げ道塞いでからにしなさい」



「……紫ちゃんのほうが、よっぽど怖いって」




***

そんな黒い会話に気が付く事も無く、香織ちゃんが僕の膝枕で眠って30分。


いきなりがばっと起き上がって「酔えない。全然酔えない!」なんて言ってまた飲み始めたから、思わず吹き出してしまった。


ほんと、こういう所がいちいち可愛いんだよな。


やっぱり、もう見てるだけなんて嫌だ。絶対誰にも渡したくない。



……まだ僕のものでも無いんだけど、ね。

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