chocolate mint
…………嘘だろ。
あの状況で、何で逃げるんだよ。
本音を全て吐き出して。
あんなに真っ赤な顔をして。
ギュッと抱き締めた腕の中から逃げるなんて……
やっぱり、僕は香織ちゃんにとって男じゃないんだろうか。
人としても認識されているかどうかも怪しくて、ただ居心地がいいだけで側にいるだけの存在。
……それって、居ても居なくても同じって事じゃないのかな。
だからと言って、香織ちゃんを追いかける事も、消えたドアを開く事も出来なかった。
完全に拒絶された事実に、僕はしばらくリビングで呆然としたまま立ち尽くしていた。