chocolate mint
『俺が教えるのもおかしいと思ったけど、お前は知ってたほうがいいと思って』
『お前ってさ、崎山と本当に付き合ってないのか?』
『菊井とは付き合って無かったのか?』
『お前、今崎山と一緒に住んでるんだろ?……で?どうなってるんだ?』
……あーーーー、うるさいな!
そんな気軽に『付き合ってるけど?』って言えるくらいの関係だったら、こんなに苦労してないんだよ。
こっちは、スタートラインにすら立っていないんだから!
「……ちょっと、裕介。人の店であんまりイライラしないでくれる?胎教に悪いんだけど」
既読を付けたまま放置しているLINEをじっと睨み付けるように見ていた僕の目の前に、スッとコーヒーのカップが差し出される。
顔を上げると、向かいの席に呆れた顔をして志帆さんが座っていた。
「…………志帆さん。子ども、できたの?」
「うん。この前、やっと判定出たんだ」
「そっかー!おめでとう!!」
「……『そっかー!』じゃないわよ。あんたは何で仕事を放り出してここにいる訳?!」