chocolate mint
そうだよ。


こういう事も簡単に予想できちゃうし、みんなからストーカーみたいって気持ち悪がられても構わないくらいに、僕は香織ちゃんのことが好きなんだ。


……みんな知っているのに、本人にだけは全く伝わらないんだけどね。



***


予想通り、香織ちゃんは約束の時間よりかなり早めに店に現れた。

「こんにちは!久しぶりね。かおーー」


『香織ちゃん!』と大声で言いかけた志帆さんに向かって唇に指を当てて『シーッ』のポーズをしながら、香織ちゃんは志帆さんに何やらゴニョゴニョと小声で話しかけていた。



それを聞いて、今にも大声で笑い出しそうな志帆さんにテーブル席まで案内されて、カウンターや入り口が見渡せる奥側の席のほうに腰かけたのが気配で分かった。


……たぶん、何もかも僕の予想通りだったんだろうな。



僕の隣にいる人もその様子を見て、大きな身体を窮屈そうに折り曲げながら、クックッと声を殺して笑っていた。



15時を回ったけど、ヤツが店内に現れる様子は無い。


ーー勝手に呼び出しておいて、しかも待たせるなんて、本当に失礼なヤツだ。


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