chocolate mint
「何で?……逆らわなさそうだから?」
決して冗談を言ったつもりじゃ無かったんだけど、崎山先輩は声を上げて笑い出してしまった。
「あははっ。そうじゃないよ。裕介くんは、小山くんや純くんが出来ない事でちゃんとチームを纏められるから選ばれたんだよ」
「裕介くんはね、みんなの事をよく見てるよね。だからこそ、一人一人ときちんと向き合える人だと思うよ。先頭に立つ人じゃなくて、隣で一緒に頑張ろうって声を掛け合える親しい存在の人。そういう人と一緒だと安心できるし、頑張ろうって思えるから」
そういう崎山先輩だって……人の事をよく見てるよ。
少なくとも、今まで僕にそんな事を言ってくれた人はいなかった。美人で、ポーカーフェイスで、凄くクールに見えるくせに、こんな優しい事を言うなんて反則だ。
何でこの人『鬼』なんて呼ばれちゃったんだろう。
こんなに後輩思いで優しい人なのに。
「私ね、鬼みたいって言われてるけど、実は小学生の先生になりたいんだよね。みんなにはやめとけって言われてるけど、絶対向いてる!これしかない!って思ってるんだよね。私、キャプテンになった時も全く同じ事考えてて、私がやらないで誰がやるんだ!ってくらいの気持ちでやってたんだよ。……まぁ、ちょっとやり過ぎちゃったけど。だから、裕介くんもあんまり頑張りすぎないでね」