chocolate mint

「……ほんと、情けないよね」


胸元に顔を埋めたままで、香織ちゃんが話し始めた。



「私、こんな事になるまで亨が私と結婚する事に疑問を感じていたのも、あの望って人に言い寄られていたのも、全然気がつかなかった」


二年も付き合ってきた恋人の変化に気がつく事ができなかった。


それは相手の気持ちをすぐに考えて悩んでしまう、香織ちゃんらしい後悔だと思う。


あくまでも気がつかなかった自分が悪い。


その考えは誰も傷つけないけど……僕はどうしても、じれったくて、もどかしい気持ちになってしまう。



「それは、仕方ないんじゃない?そうじゃなくてもさ、男は何か大きな決断する時には慎重になるもんだよ。だから、試す……のはやりすぎだけどさ、何かしらのきっかけや勢いがなきゃ踏み切れないヤツもたくさんいるってこと。気が小さいんだよ、男はね」



「僕だって、そうだよ」


アイツを擁護する気は無いけど、僕だって今踏み切れなかったら、またただの友達として過ごさないといけなくなるのに……と思いながらも、きっかけが見つからなくて何度もタイミングを逃してきたんだから。

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