天国のおじいちゃんより
引き出しの中
「どう?支度は進んでる??」

おかあさんが様子を見に部屋に入ってきた。


私は実咲。

幼馴染みと結婚する事になり、近々実家を出る事になった。

今は新居に持って行く荷物の整理をしている所。捨てるのが勿体無い性分なので、良く言えば「宝の山」悪く言うと「ゴミの山」と化した自分の部屋を片付けている。

少なくともおかあさんは「ゴミの山」にしか見えないらしい。私が居ない間に部屋を掃除してあげるとよく言われるのだが、何を捨てられるか分かったものじゃないので、頑なに遠慮を続けてきた。

片付けているとはいっても元々散乱した部屋の物をジャンル毎に分けて置いているだけなので、見た目は片付けたようには全然見えない。むしろゴミの山が歩けないくらいまでにレベルアップした感じだ。

とりあえず持って行く物は段ボールに閉まっているが、一箱・二箱・三箱と、どんどん増えていく。一体何箱になるのか見当もつかない。

家を出る前日には、自称・宝の山だった部屋もすっかりと片付いていた。結局見かねたおかあさんが片付けを手伝ってくれる事になり、本当にいらないと思われる物はゴミとして捨てて、「あってもなくてもいいけど、無いとなんだか寂しい物」は持って行く段ボールとは別に梱包して物置にしまってくれた。

お陰で私の部屋は机とベット、壁に貼った好きなアーティストのポスターと漫画ばかりの本棚くらい。「自分の部屋はこんなに広かったっけ?」と片付いた部屋をみて少し感慨深くなった。




でも、明日にはこの部屋の主は居なくなるのです。
< 1 / 4 >

この作品をシェア

pagetop