星降る空で抱きしめて【下】~女子校英語教師と生徒の恋の場合
「あ、英作文のご褒美ってわけじゃないけど、南条頑張ってるから、その…
24日なら俺休みだからもし良かったらどうかなと思って。」
「空いてる!空いてます!めっちゃ空いてる!!」
「いや、受験生がめっちゃ空いててもどうかと思うけど。」
跳びつかんばかりの勢いの私に先生が苦笑する。
「南条はどこか行きたいとこある?」
「え…」
「あんまり日がないけど、考えといて?」
「うん…」
行きたいとこ…
先生とイルミネーション行きたいけど…
「ね、先生?」
「ん?」
「あのね…
植物園のイルミネーション、知ってる?」
「植物園?」
「隣の県にね、あるの。すっごい綺麗なんだよ?」
「へぇ。」
興味ないのかつれない返事。
デスクの上で準備室の鍵を探す先生の横顔を盗み見る。
「あの…私も行ってみたいなー、って思ってて…」
「イルミネーションて言ったら夜でしょ?隣の県じゃちょっと遠いけど、ご両親はいいって言うの?」
「ぅ…」
だよね…
やっぱりそこだよね…
「…他の所考える。」
「うん。
あ、あった鍵。さ、帰ろう。」
先生は掌の中で鍵をちゃりんと鳴らしてドアに向かう。
私はピンクのマフラーをくるりと巻いてその後を追った。