星降る空で抱きしめて【下】~女子校英語教師と生徒の恋の場合
「んー…でもなぁ…」
「だって先生。私、好きな人と過ごすクリスマスって初めてなんだよ?初めては一生に一度なんだよ?」
先生の顔を覗き込んで食い下がる。
「っ…!
色仕掛けは反則!」
「?」
「分かった!分かったからこんなとこでその顔やめて。」
首を傾げる私を先生はぐいと押しやる。
そして、
「24日、イルミネーション行こう。
その代わり、帰宅時間は10時厳守。
必要に応じてお兄さんに送り迎えしてもらうこと。
いいね?」
と、「教師」の顔で言った。
「はいっ!
先生ありがとう!!」
私はもう嬉しくて嬉しくて嬉しくて。
本当は先生に抱き付きたいくらいだったけれど、遠慮して先生のパーカーの袖をぎゅーっと引いた。
「あ!おい…!」
先生は「はぁー…」と深い溜め息をついて、袖を掴む私の手に自分のそれを重ねる。
そして指と指を絡めるようにして袖から手を引き離す。
(あ…)
引き離されたのに、でもしっかりと繋がれた手に却って胸がときめかされる。
触れあった指から掌、胸、頬へとどんどん熱が伝わったかのように熱くなる。
「そういう可愛いことするのはまた今度、ね?」
「…はーい。」
(また『今度』、ってことはデートの時ならいい、のかな…?)
先生の手が一瞬きゅっと私を包むように握られ、それからそっと離れた。
「ごめん南条。今日はちょっと急用が出来て。」
「あ、じゃあもう帰るね。」
「うん。」