クールな部長は溺愛同居人!?

「まずい。洋子さんに『晩ご飯いりません』って知らせてないかも、LINEして……いや、大丈夫だ。たしかカレンダーに忘年会って書いたかも……書いてないかな……やっぱりLINEしよう」

ブツブツ言いながらスマホを動かす。

見合い?
お見合い?課長が?

「課長?あの……お見合いって?」

係長の声が裏返ってる。

「ん?鈴木常務のお嬢さんと見合い。今週の金曜の夜だった、新年会は必ず行く」

ごくごく普通に課長はそう言った。

お見合い?

課長がお見合い?
頭の中がグルグルしてる

課長がお見合いするんだ。

鈴木常務のお嬢さんって
もしかしたら逆玉じゃない?
上手くいけば
鈴木常務の義理の息子さんだよね。目をかけられて出世コース間違いなし。

そうなんだ……お見合いするんだ。

そっか……。

私は自分のスマホをこっそり開き

【土曜日の方がゆっくりできると思うので、23日でお願いします】

そう
新堂係長に返事をした。

前に進もう。

課長が家から出て、お見合いするのなら
私も前に進まなきゃ。

でも
どうしてこんなに胸が苦しいのだろう
胸の奥をぎゅーっと絞られて押さえつけられた気分。

苦しくて……つらくて……泣きたい。

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