クールな部長は溺愛同居人!?
「課の忘年会は欠席なんですね」
「あぁ悪い」
「みんな残念がってます」
「ウソだろ。俺の悪口言い放題できるだろ」
薄ら寒い空気が流れてる
違う
何か違うんだ
こんな話じゃなくて、別の話をしたいのに……自分で何を話したいのかもわからない。
「お見合い、頑張って下さい」
「あぁ」
「お見合い成功したら、結婚ですよね」
「見合いってそんなものだろ。未亜も新堂とクリスマス頑張れよ」
「どうして知ってるんです?」
「本人から聞いた。ハイクラスのホテルだから楽しみだね。ヤツのいとこが役員だから、この忙しい時期にいい部屋を取れるらしい。ディナーも美味しいよ」
「そうですか」
どうしてタメ息が出るんだろう。
楽しいクリスマスの予定の話をしているのに
会社で業務連絡を話している気分だ。
「あと、部屋を今探してる。すぐ出て行くから」
「……はい」
「風邪ひくぞ。おやすみ」
「……はい」
「未亜とこんな長い話をするのは久し振りだね。おやすみ」
課長は私に触れもせず
自分の部屋に入って行った。
廊下の寒さか
心の寒さか
一気に身体が冷たくなり
私は両手で自分の身体を抱きしめて、課長の部屋の扉をしばらく見つめていた。