クールな部長は溺愛同居人!?
けっこう飲まされたのか
とろんとした目で私と真依子ちゃんの肩を抱き
「元気でねー」って感傷的な声を出す。
思わずつられてウルウルしたけど、真依子ちゃんは超クールだった。
「元気でね?どうして辞めるのよ。寂しいじゃん」
クールだけど発言がツンデレで笑ってしまう。
真依子ちゃんらしいよ。
「うーん……そうね……」
ためらうリリコちゃん。
リリコちゃんの持ち場は、私の憧れの住宅展示場。
本当は私が行く予定だった場所。
「私も住宅展示場に行きたかったな」
ポツリと思わず言った一言に、リリコちゃんは酔いが醒めたような真面目な顔になる。
そして
「あそこはダメ。闇深い。完璧なるブラックでクソ」
吐き出すように言い
私と真依子ちゃんは目を丸くした。
「本社と離れてるから、あまりそんな情報は流れないと思うけど、あんなクソな場所ありえない。セクハラ&パワハラで死ぬよ。私は負けちゃった。耐えられなくて逃げ出したんだ」
リリコちゃんは長い髪をかき上げ
「絶対内緒だよ」って言って
真っ赤なネイルが目立つ人差し指を、そっと真っ赤な唇に重ねて、私と真依子ちゃんに話してくれた。
会社に入って
長い研修を同期と終え
それぞれが自分の働く場所へと移動する。
地方の営業所へ移る同期もいた
リリコちゃんは本社希望だったけれど
隣町の住宅展示場に配属された
配属先の上司は社長の奥さんの甥っ子で、とんでもないセクハラ野郎だった。