クールな部長は溺愛同居人!?
世間一般的にいえば『やってもうた』ってやつなんだろうか。
覚悟決めて部屋に入って
突き飛ばすって……ないよね。
何をやってんだろう私。
でも違う
今のキスは違う
私の求めている唇じゃない
このキスは違う
私の求めているキスは
私の求めている唇は……
「未亜ちゃん?」
「はい」
なぜか涙がポロポロ流れる。
「泣かないで。ほら、こっちに座って」
新堂係長は私のとった失礼な態度に怒りもせず、幼稚園児をなだめる先生のように優しく私の背中を支え、ソファに座らせる。
「お水にしようか?」
冷蔵庫からペリエを出し
細いグラスに注いで、渡してくれた係長。
その表情は甘く優しい。
涙を拭く私の前のソファに座り
おどけた様子で係長は「はい」って手を上げた。
私は顔を上げて係長を見ると
「相楽が好きなんだろう」
ゆっくりとそう言ったので
私は素直にうなずいた。