クールな部長は溺愛同居人!?
「違うんです。私も悪いんです。私が課長の言い分を聞かないで『大嫌い』って言っちゃって……」
「えっ?だから最近元気なかったんだ。笑えるわ」
さっきまでの寂しい表情が変化して
新堂係長は笑顔になった。もしかしたら甘い顔してるけど、新堂係長の方が課長よりドSかもしれない。
「仕事じゃ負けないけど、新井さんには負けるんだね。早く会いに行きなさい。あいつの今住んでる家わかる?電話で呼び出してやろうか?」
「大丈夫です。居場所はわかるけど……もう遅いんです。課長は鈴木常務のお嬢さんとお見合いして、今日もデートです。とっても綺麗でお似合いのふたりでした。楽しそうに腕を組んでデートしてました」
もう遅いんです
何もかも
「新井さん。相楽はあんな感じで口も態度も悪いけど、とってもいい奴だよ。僕が保証する。そして簡単に運命の女の子をあきらめたりしないから大丈夫」
「そんな簡単な問題じゃなくて……」
「複雑に考える必要はないさ。相楽は新井さんが好きで、新井さんは相楽が好き。問題ないだろ?世の中って、新井さんが思ってるより簡単だよ」
課長にまったく同じ事を言われたのを思い出した。
もう一度
飛び込んでみようか。
「すいません。帰ります」
「頑張れ」
新堂係長は今日一番の笑顔を見せてくれて、私も心から安心した今日一番の笑顔を見せる。
帰ろう。
家に居ないかもしれないけれど
綺麗なお見合い相手と過ごしてるかもしれないけれど
家に帰ろう。
私が課長と一緒に住んでる
我が家に帰ろう。