クールな部長は溺愛同居人!?

テレビも点けず

リビングの食卓テーブル。
そこの
自分の場所に座ってた。

お風呂上りなのか
髪ぼっさ
黒のパーカーに黒のスェット
背中を丸めて
大きなクリスマスケーキをホールのまま、ちびちびとフォークを入れて食べていた。

名前をノートに書いたら死んじゃう映画に出てくる人に似ていて、思わずプッと吹き出して笑ったら、超不機嫌な顔でこっちを見た。

「何やってるんですか?」

「未亜こそ」

「なんて贅沢な食べ方してるんです?」

「毎年こうやって食べてる」

「ケーキ好きなんですか?」

「大嫌い」

あまのじゃくすぎる。

「高級ホテルのお泊りはどうした?」

ケーキにサンドされてる苺を器用に取り出し、義務的に口に運ぶ課長。
本当に美味しくなさそうに食べてるね。

私は隣に座り
課長のフォークを奪ってケーキを一口食べてみる。

美味しい。どこのケーキだろう。
とっても美味しい。

「すごく美味しい。どこで買いました?」

「美味しくない。クリスマスケーキなんて味なんてしない」

「それでも毎年食べるんでしょう?」

「食べるよ」

感情のない顔で返事をされたから
ケーキのクリームを指ですくい
課長の鼻にのせて笑うと怒られた。

毎年
意地になって食べてるんでしょう
子供の頃の寂しくて悔しい想い出を、食べているんでしょう。

強がりで寂しがり屋で甘えっ子の課長。









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