クールな部長は溺愛同居人!?
「人事にかけあってくれたのは、私を守る為だったんですね」
課長の顔を見て言うと
課長の目が泳いだ。
「新堂か?」
「誰だっていいんです。どうしてそれを、説明してくれなかったんです?」
「説明しても人事に口を挟んで替えてもらったのは事実で、セクハラをもみ消されてあの子を守れなかった」
「課長が紹介してくれた、新しい場所で頑張るって言ってました」
「……うん」
子供みたいに
すねた顔で顔をそむける課長。
まったく……もう
「私も運命ってあると思います」
言い切った私の言葉に、やっと目を合わせてくれた。
捨てられた仔犬系のまなざし。
会社では見られない
私だけが知ってる顔。
「課長のお兄さんが偶然、うちのお姉ちゃんと結婚した事。私が課長の会社に入った事。課長がうちに住み始めた事」
それから
もうひとりの家族と生年月日が同じって事。
「新堂係長は私の背中を押してくれました。私は課長が好きです」
「未亜?」
「寂しがり屋で甘えん坊な課長が大好きです」
課長のこんなに驚いた顔は初めて見る。
イケメンが台無しだよ。
「さっきから、私は何度も課長って呼んでるんですよ。ペナルティはいいんですか?」
唇を震わせ
想いを込めてそう言うと
やっと課長は笑って
私に手を伸ばす。