クールな部長は溺愛同居人!?

「人事にかけあってくれたのは、私を守る為だったんですね」
課長の顔を見て言うと
課長の目が泳いだ。

「新堂か?」

「誰だっていいんです。どうしてそれを、説明してくれなかったんです?」

「説明しても人事に口を挟んで替えてもらったのは事実で、セクハラをもみ消されてあの子を守れなかった」

「課長が紹介してくれた、新しい場所で頑張るって言ってました」

「……うん」

子供みたいに
すねた顔で顔をそむける課長。
まったく……もう

「私も運命ってあると思います」

言い切った私の言葉に、やっと目を合わせてくれた。
捨てられた仔犬系のまなざし。
会社では見られない
私だけが知ってる顔。

「課長のお兄さんが偶然、うちのお姉ちゃんと結婚した事。私が課長の会社に入った事。課長がうちに住み始めた事」

それから
もうひとりの家族と生年月日が同じって事。

「新堂係長は私の背中を押してくれました。私は課長が好きです」

「未亜?」

「寂しがり屋で甘えん坊な課長が大好きです」

課長のこんなに驚いた顔は初めて見る。
イケメンが台無しだよ。

「さっきから、私は何度も課長って呼んでるんですよ。ペナルティはいいんですか?」
唇を震わせ
想いを込めてそう言うと

やっと課長は笑って

私に手を伸ばす。





< 128 / 153 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop