クールな部長は溺愛同居人!?

「何だ?まだあるのか?」

冷たい目がチーフをにらむので
チーフは「いえ別に」って突っ込めないでデスクに戻った。

よかった。
一気に身体中の酸素を吐き出した気分。

「未亜ちゃん未亜ちゃん」

こっそりと小さな声で隣のイスが鳴り
ツーッと踊るように先輩が私に近寄る。

「聞いた?課長がお弁当だって」

「はっ、はい聞こえました」

「女かな?マンションを引っ越した噂があるの。今日は愛車のレクサスじゃなくて駅から歩いて来たんだって」

「そうなんですか?」

早いよ情報が。
スパイでもいるの?

「秘書課の子が騒いでた。ドS課長はファンが多いからね」

「……ですね」

「課長ファンでLINEグループもあるぐらいだから、もし一緒に住んでる恋人発覚とかなったら大事件よね。うちの会社の女の子なら袋叩きに合うかも」

怖いー怖い怖い怖い。
でも私は課長の恋人じゃありません
信じて下さいっ!

「でもありえないよね。あんなドSの悪魔と同居でお弁当まで作るなんて、信じられないどんな女性なんだろう」

きっと
明るくメタボ体系で天然な50代女性だと思います。
新井洋子ってフルネームまで言えます。母です。

< 31 / 153 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop