クールな部長は溺愛同居人!?

社食でお弁当を食べながら
スマホで賃貸物件を開く私。

社食というより
大きな大きなカフェテリア。

社長が食べる事が大好きで、完璧に自分の趣味で広くおしゃれな場所を作ったらしい。
メニューも豊富で味も良くて素早い。
同じオフィスビルに入っている社外の人達も食べに来るので、いつも賑わっていた。

社外の人は持ちこみお弁当禁止だけど、私は堂々とお弁当持参で入り込む。

お金を出せば
沢山いい物件はあるじゃない。
スマホを指で滑らせ
脳内でブツブツ言いながらタコさんウィンナーをつまんでいたら、前の席にふわりと人が座った。

「部屋探し?」
目の前に座ったのは同期の佐々木真依子(ささきまいこ)ちゃん。
住宅リフォーム部に所属。
ふんわりとしたショートボブに白い肌。小さなパールのピアスが良く似合う女の子。小柄で可愛らしい顔立ちに似合わず、気が強くてハッキリした性格なので、何かあったら挙動不審になってウロウロする私とは正反対だけど、妙にウマが合い同期で一番の仲良しさん。

真依子ちゃんは私のスマホを覗きながら、ロコモコ丼に箸を入れる。

「うん。うちの会社の賃貸物件使ったら安くなるかな」
ありがたい事に、うちの会社は賃貸マンションにまで手を出していた。

「絶対なると思うけど、社内の人に全部バレそうで嫌だなー」

「なるほど」
男子社員に人気のある真依子ちゃんなら、下手にバレると嫌かもしれない。

「それよりずーっと実家暮らしで、お弁当もお母さんに作ってもらってる未亜に自炊はできないよ」

ズバリ言われてしまった。
はい。大正解です。

「今日も美味しそう。タコさんウィンナーちょうだい」

「はいはい」

真依子ちゃんは私のお弁当を見ながらウィンナーをつまみ、目線を別の場所に移す。

「見て、珍しい。今日は未亜のボスとうちのボスのツーショットだよ」

真依子ちゃんの言葉に私は振り返ると、遠く離れた場所で新堂係長が相楽課長とツーショット。

うちのドS課長はどうでもいいけど

新堂係長が素敵すぎる。



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