クールな部長は溺愛同居人!?
でも
ベッドに押し倒されてキス寸前で脅された……までは、言えなかった。
お姉ちゃんには何でも話せる仲なのに
なぜか言えなかった。
「職場でも家でも、あの怖い課長と一緒なんてハードル高すぎる」
『ごめーん。忠幸が軽くお母さんに言った話が、まさか本当になるなんてねぇ』
「簡単に言わないでよ」
『でも幸弘君はいい子よ。お父さんもお母さんも喜んでるでしょう』
「それなんだって!」
私は両親の歓迎ムードをお姉ちゃんに訴える。
特にお母さんなんてひどい。
娘の私より可愛がってる。
『少しの間、大目に見てあげなさい』
「だって」
『あのね……これ、言おうかどうか迷ってたんだけど……お父さんとお母さんに絶対言ったらダメよ。特にお母さんに。そんなの絶対関係ないって全否定されるから』
お姉ちゃんは回りを見渡し
お義兄さんが居ないのをチェックしてから、海を越えて真剣な目をして私に静かに語りかける。
お姉ちゃんの話によると
我が家は本当は5人家族になる予定だった。
お姉ちゃんが産まれてすぐ、お母さんは次の子を予定外で妊娠してお父さんと一緒に大喜び。でもお父さんも仕事が忙しくて家の事も手伝えず、お母さんはお姉ちゃんを育てながら家事もして大忙し。そんな時の妊娠中期で残念ながら赤ちゃんは流れてしまったらしい。
お母さんが無理をしたとか、無茶をしたとかではなく、赤ちゃんの都合で流れてしまいお母さんはショックで毎日泣いていたらしい。