クールな部長は溺愛同居人!?
「これ」
課長は手に持っている数冊の本を私に差し出した。
私は竹刀を壁に立てかけ
両手を出して本を受け取ると
ズシリと重い衝撃と共に、表紙を見て目が丸くなる。
「勉強になるから読め」
超有名CMクリエーターの本と広告業界の本とデザインの本。
入手が難しい本であり
値段も高い本。
「ありがとうございます。読みたかったんです」
本気で嬉しくて
感謝の言葉を言うと
「どういたしまして」と、課長は微笑んだ。
優しい顔で微笑んだ。
こんな優しい顔もするんだ
腕を組み
扉に身体を預け
とっても優しい顔で私を見ていた。
そんな課長を見ていたら
胸がギュッと何かに捕まれたように苦しく切なくなる。
どうしたんだろう……私。
「わからない箇所があれば聞け」
「はい。か……幸弘さん、ありがとうございます」
危機一髪。
「惜しかった」
課長は笑って隣の部屋に戻ってしまった。
私は胸に本を抱き
自分のよくわからない胸のトキメキに、心を乱される。