クールな部長は溺愛同居人!?
「何か困ったら助けてもらいなさい」
「そうだね。幸弘に知らせておこう」
えーっ!いいですいいです!
心から遠慮したい。
だってあの弟さん絶対怖い。
「幸弘君ってどこの部だっけ?営業マン?」
「会社の広報部だったはず」
「すごいね。一流会社の広報ってかっこいい」
「仕事大好きなだけ。連絡しておくね」
画面越しにスマホを取り出すお義兄さんを必死で「いいのいいの!」と、慌てて止める。
「大きな会社だから会う確率少ないし、住宅展示場で案内する女性スタッフが足りない話を聞いたから、たぶんそっちに回されると思うから」
お義兄さんの手を止めたくて
意味もなく早口でペラペラ説明する私。
「あぁモデルハウスで家の説明をする人ね。未亜に似合うかも」
「そうだね。可愛いし気が付くし、未亜ちゃんならピッタリだ」
ふたりでうんうんと平和にうなずく。
「うん。私もそっち希望なんだ。あとリフォームにも興味がある話をして盛り上がったから、住宅リフォーム課の道もあるかも。支店も沢山あるから、もしかしたらそっちかもしれない。そんな華やかな広報部なんて縁がないよ専門の勉強もしてないし。だから弟さんに言わなくて大丈夫です」
そう。大丈夫。
大きな会社だから大丈夫。
顔も合わせないはず
展示場とか行かされたら
場所も違うだろう
って思ってたのに。