クールな部長は溺愛同居人!?
新たに借りた本をまた増やして
すぐ席を立ち自分の部屋に戻ろうとすると
「もう帰るの?ゆっくりしろよ」
こんどの微笑みは邪悪。
これはキュンしない。ほら、こっちが本当の姿だよ。
「いいえ帰ります」
「冷たいなぁ未亜は」
からかう声がムカつくけれど、丁寧に教えてもらって嬉しかった。
そういえば
課長の仕事は丁寧だ。クレームは聞いた事がない。
人間的に問題はあるけれど
仕事は完璧で誰もが認めて尊敬している。
「課長?」
「あ、言った」
ヤバい。つい言ってしまった。
でも知らん顔で私は話を続ける。
「無理しないでいいですからね」
「何が?」
不思議そうな顔で課長は私の前に立つ。
「あの、私の両親の干渉がうるさかったら部屋にすぐ戻って下さいね。うちの両親は幸弘さんが大好きで、子供に絡むようにうるさく話しかけてきたりして、ここに来てプライバシーも何もなくて、見知らぬ家族と同居でストレス貯まると思うんです」
課長はうなずきながら、私の話を聞いていた。
「だから、課長が疲れるんじゃないなかって思ってしまって。課長が気を使ってリビングに居て、お父さんと将棋したりテレビみたりお母さんにガンガン話しかけられて、ストレス貯めて迷惑だったらどうしようって気持ちもあるんですよ」
素直にそう思っていた私。