クールな部長は溺愛同居人!?
そんな私の気持ちを考えず
「唇も冷たい」と、キスしようとしてきたので「いい加減にして下さい」と、頭突きで応えた。
昔々
大好きなお姉ちゃんに習った護身術。
『襲われて身動きとれなくなったら。頭突きしなさい』
ありがとうお姉ちゃん。役に立ったよ。
でも私も痛かったよ。
「ひどいな」
ブツブツ言いながら
負けずに人の首筋に顔を埋めて目を閉じる。
ちょっと濡れた髪が私の頬にかかってくすぐったい。
「未亜」
「はい」
「ありがとう」
素直な課長が怖かった。
「ここに来てから充実してる」
「そうですか?大変じゃないですか?」
「生まれて初めて……幸せで、落ち着いた暮らしを送ってる」
しんみり言われてしまった。
「家に帰ると電気が点いてて、温かいご飯があって、人がいて音がして温かくて心地よい」
「クールな課長が珍しい」
「うん」
素直すぎてやっぱり怖い。