クールな部長は溺愛同居人!?
誰がどこまで本気なの?
「病院に連れて行きたいのですが、どこが近いですか?」
「ここから車で5分の場所に柴田クリニックってあるの。そこのお母さんと私が友達だから電話してみる」
あそこは小児科では?
「お願いします。僕が連れて行きます」
いいです。
お父さんかタクシーで行きます。
ぼんやりと目の前に広がる景色は、お母さんが電話してお父さんがオロオロして、課長は心配顔で私を抱きかかえて頬を触ってる。冷たい指先が気持ちいい。
「俺が未亜の体温吸い取ったせいだ」
そんな悲しい顔をしないで下さい。
そんな顔
初めてみるよ。
「幸弘君、すぐ連れてきて大丈夫だって」
「わかりました。今、僕もすぐ用意してきます。未亜の保険証とかお願いします」
「未亜の上着はどこだ?」
私以外が朝からバタバタ。
でも、今朝は朝から会議があるはず。
「幸弘さん、会社行って下さい。会議がある」
ガラガラ声で課長に言う私。
喉が痛い。
昨日まで元気だったのに。
「会議より未亜が大切だ」
課長は怒ったように言い、私をソファにそっと置く。
仕事命の課長が……らしくないでしょう。
でも
心の奥が熱くなる。
涙腺緩むのは私が弱っているから?