クールな部長は溺愛同居人!?

もう一度ウトウトして
うっすらと目を開けると課長がいた。

帰ってきたばかりだろうか
スーツ姿で私のベッドに座り
優しく髪を撫でている。

その撫で方が気持ちいいから
もう一度目を閉じてタヌキ寝入りをする私。
テツオになった気分。

今日は残業止めて帰ってきたのかな
忙しいから無理しなくていいのに

課長の手が私の額を触り
「熱が下がってよかった」と、優しい声を出してから私の唇にキスをする。

柔らかい唇が重なって
また熱が上がりそう。

不意打ち禁止!
寝込み襲うの禁止!

たぬき寝入りから起きれなくなって泣きそう。
キスなんてしないでよ……もう……。

「ごめん」

謝罪の言葉を今朝から何度聞いただろう
会社では絶対謝るなんてありえないのに
こんな私に謝るなんて

らしくないよ。

その時
枕元の私の携帯がLINE受信の音を鳴らし、課長が手を伸ばそうとする気配があったので、私は慌てて「あ……おかえりなさい」と、今起きました系のベタな芝居で目を開ける。

「身体はどうだ?」

「大丈夫です」

そう言ってスマホを手にして目にすると、新堂係長からのLINEだった。

「新堂係長だ」
つい反射的にそう言うと

「なんだって?」
課長はみるみるうちにいつもの会社でのドSな表情になり、弱ってる私からスマホを奪った。
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