クールな部長は溺愛同居人!?
「今年中に、部屋を探して出て行きます」
「えっ?どうして急に?」
「そんなにいい部屋が見つかったのかい?」
朝
私が支度をして二階から降りると
両親と課長が食卓テーブルに座り
そんな会話をしていた。
お母さんは肩を落として課長を見つめ
お父さんはただひたすら驚いていた。
「急だね。我が家は幸弘君に合わなかった?僕は将棋の相手が見つかって嬉しかったけど」
「お父さんの将棋の相手が嫌なら拒否していいのよ」
「お母さんの手料理がしつこかったとか?」
「お父さん!」
「違います。すいません!」
始まりそうな夫婦ケンカを収めるように
課長も負けずに大きな声を出す。
「違うんです。あの……とっても良くしてもらって本当に感謝してます。どんなにお礼を言っても足りないくらいで、この家にお世話になってよかったです」
「それなら」
「お世話になりました」
笑顔で言われると
お父さんもお母さんも何も言えない。
課長は私を横目で見たけど
私は課長の目線を無視して靴を履く
玄関の鏡で自分の顔を見る
目が真っ赤だ。泣きすぎた。