クールな部長は溺愛同居人!?
家でも不在が多い。
仕事が忙しいのもあるけれど
土・日も休日出勤か部屋探しで忙しい。
日曜日のお昼
カップめんをすすりながら
流れるテレビを見つめるお母さんと私。
「今日は手抜きだね」
たまにカップめんも美味しいけどさ。
「美味しそうに食べてくれる幸弘君が居ないと、なーんか作る気しなくて」
「お父さんも居ないしね」
お父さんはお昼も食べずに散歩。
「幸弘君と一緒に、釣りに行きたかったんだって」
「そっか……でもさ、元の家族に戻っただけだよ。数ヶ月前まで、ずーっとうちら3人だけだったでしょう」
「そうなんだけどさ」
お母さんはサイドボードのお地蔵さんにチラッと目を向ける。
「幸弘君の笑顔が好きだったなぁ。嫌な顔しないで、こっちの話に付き合ってくれて、なんでも『美味しい』って食べてくれて、すごくリラックスしてくれたよね。しっかり馴染んで家族の一員みたいだったから、居なくなると寂しいなぁって思って」
私が『大嫌い』って、追い出したんだよ。
「家庭を知らずに育った子だと思うと、たくさん色んな事をしてあげようって思ったの。幸せな顔が見たいなぁって思っちゃったから、別れが余計つらいんだね」
寂しそうな声に思わず「ごめんね」ってつぶやくと、お母さんは驚いて「どうして未亜が謝るの?変なの」って笑われた。
ごめんね。
全部私が悪い。
でも
どうしても許せなかったんだ。
ごめんなさい。お母さん。