完璧幼馴染の仮面が崩れるとき



ゆっくり振り返ると、




ずっと会いたかった耀がいた。





ウソでしょ…。




久しぶりに会ってちょっと痩せたように感じるけど、そんなことはもうどうでもよかった。


耀をしっかり見たいのに、たくさん溢れてくる涙が耀の姿を滲ませる。




「なんで…?

フランスは??」



私がそう聞くと、

「なんで知ってんの?」と驚いてる耀。



「なんでって…。」



私が言葉に詰まってると、
耀が私の右手を強引にグッと引いて歩き始めた。


耀はなぜか駅に向かって、電車に乗って…


「どこ行くの?」と聞いても「秘密」と答えてくれなかった。



電車をおりて駅を出ると、なんだか懐かしい見覚えのある道。


そして、しばらく歩くとあるビルの前に着いた


「ここ。覚えてる?」


覚えてるも何も、忘れるわけがない。



「当たり前でしょ?」




私がそう答えると、耀は満足そうに笑った

このビルの32階に、私の20歳の誕生日を祝ってもらった『ルシェル』がある。


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