完璧幼馴染の仮面が崩れるとき




しばらくして、私たちは店を出た。



「支払いは?」と聞いても「またそんなこと気にして。」と怒られてしまった


どうやら前払いしてくれてたみたい。
ほんと、なにからなにまで完璧な人。



手をしっかり繋いでエレベーターを降りる。



その手はあたたかくて、やっぱり安心する。

外に出ると、夜風がアルコールで火照った私の頬に触れる。



そして、耀は何も言わず、私の家とは反対方向に歩き始めた。



「耀?」



と私が話しかけると、



「ん?」



と何事もないようにはぐらかす耀。




「私、こっちじゃ……」



そう言うと、人が沢山いる大通りからすっと1本奥に入った路地裏に引き込まれた。



そして、私の腰と後頭部に手を回してぐっと引き寄せる。



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