完璧幼馴染の仮面が崩れるとき
「うーん。」
「いーい?これ逃したら一生、エテルニテなんて行けないし、秋月さんにも会えないかもしれないのよ!?
こんな優良物件ないじゃん!!
久遠さんとは別に付き合ってるわけじゃないんだから!
ね?1度くらい食事すれば交友関係も広がるし、自分のためよ!!」
……やっぱりモードに入って諭し始めた結花の言葉はかなりの説得力がある。
まぁ別に私と秋月さんが食べに行ったところで、耀はなんとも思わないだろうし、いいか。
なにより、高級フランス料理は食べたい。
そう思って結花に行くという意思を伝えて仮眠をとった。
そして、休憩が終わってお客様の元へ戻る。
すると、秋月さんが「新聞をお願いしてもよろしいですか?」と私に話しかけてきた。
数種類の新聞を持って彼の元に向かい、差し出すと、フランスの経済新聞を取って「ありがとう」と笑顔で言った。
さすが一流ブランドの専務さん。
フランス語もペラペラなのね…。
なんて思うと、さらに緊張する。この場から早く逃げたいと思ってると、
「名刺、読んでくれた?」
と話しかけられた。
「ええ。拝見しました。
ステキなお誘い、ありがとうございます」
緊張しながらも相手に伝わらないように柔らかく笑ってそう答えると、「じゃあ、一緒に?」
と色気たっぷりな秋月さんが、私の顔を覗き込んだ。
私が首を縦に降ると同時に秋月さんは笑顔になり、
「よかった。嬉しいよ…ありがとう」
と私としっかり目を合わせて、言った。
キュン。
何今の笑顔...。こうやって女性を何人も落としてきたのではないかと思われるぐらいの破壊力
さすが、一流ブランドの最年少専務。