完璧幼馴染の仮面が崩れるとき



唇が重なった瞬間のことは今でも忘れられない


茉莉花の唇はすげぇやらかくて、キスってこんないいもんで、こんな気分が高まるものだったことを初めて実感した。



触れるだけのキスだったけど、茉莉花は俺の背中にちょっと遠慮がちに細い腕を回して必死に応えてくれた。



唇が離れてしまったあとでも名残惜しくて、まだまだ茉莉花が足りなくて...。
でも、キスが終わったあとの茉莉花の切なそうな表情が少し冷静になった俺の目に入って、自分が何をしてしまったのかを思い知った。



「ごめん...茉莉花。」


その言葉が正解だったかどうかなんてその当時の俺にはわからない。
ただひとつ言えるのは確実に茉莉花を傷つけてしまったということだった。



次の日。引越しの荷物を全てトラックに詰め終わって、車で母さんとふたりで俺は東京に向かう予定だった。


なのに。車で俺が母さんを待ってると
「耀、私もお見送りで行くね」
なんて茉莉花が乗ってきた。


合わせる顔がないって思ってた俺にとっては少し気まずいけど、仲を戻すチャンス。
東京までの道のりで何とか挽回してやるって心に誓った。


「あ、ごめん!母さん、忘れ物しちゃった!
ごめん、ちょっとまってて!茉莉花ちゃんごめんね?」


なんて母親のナイスな忘れ物で車内はふたりきり。


何を話そうかと必死に話題を考えてた時、茉莉花から出た言葉。


「昨日...なんでキス...したの??」




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