完璧幼馴染の仮面が崩れるとき
まさかと思った。
茉莉花がそんなこと聞いてくるなんて思ってもみなかった。
_茉莉花のことがずっと好きだったから。
_茉莉花が可愛くて、愛しくて、好きって気持ちが溢れたんだよ。
心の中じゃドンドン溢れる俺の溺愛の台詞。
でも、言葉にすることなんてできない。
不安そうにじっと俺を見つめる茉莉花の視線に耐えられなくて。でも、こんな溺愛してるみたいな恥ずかしい言葉もカッコ悪い気がして...
俺はこんな重要な瞬間にも、余裕をかましてしまった。
「なんとなく?」
そこからだった。俺らの関係性が変わったのは。
純粋で俺は相当茉莉花が好きで、茉莉花も俺を慕ってくれる。何かあったらお互い助け合って、何も言わなくても、お互いにとっていちばんの存在。
そんな綺麗な関係性だったのに、俺が次に帰省した時にはもう既にそんなものはなかった。
茉莉花にはイケメンで優秀な年上の彼氏がいて、茉莉花のことをかなり大事にしているし、何よりも一番変わったのは俺への態度。
今までなら、
「耀!帰ってたの!?会いたかった~」とまで言いそうだった茉莉花が、余裕そうに「久しぶり」と言うだけだった。
別に言い方に刺があるとか、無愛想とかそんなことではない。
話すと普通に話すし、たぶん周りから見れば何も変わってないんだろうけど、俺の中では『もう耀に頼るあの頃の私じゃない』という茉莉花の意思が見えたような気がした