完璧幼馴染の仮面が崩れるとき
私は何も言えなかった。
そうだ。こんな素敵な服を着せてもらって、あんなに高級な料理を食べさせてもらってたんだ
耀がこんなに悩んでる時に。
私は本当に、耀の何を見てきたんだろう
そう悲観していると耀は言葉を続けた。
「俺は...。多分今日連れてってもらったような店で食事ご馳走することとか、そーゆう綺麗なドレス、着せてあげられることとか出来ねぇから。
秋月 潤専務取締役。やり手若手専務で有名だ。
財力もある、実力もある、ルックスもある。俺なんかよりも相当落ち着いてて、包容力に満ちてる。
あんなイイ男に、敵うわけねぇじゃん。」
そういって耀はふらっと立ち上がってカバンの中からカードを出して支払った。
「こんなダセェ自分、これ以上お前には見せたくねぇ…
ごめん、呼び出したのは顔見たかったから。
あと、アイツとどうこうなってんだとしたら、阻止したかっただけ。
電話に出てくれた時は安心した。
でも俺、こんな小せぇんだってちょっと呆れたわ。
悪かった…。……じゃあな。」
さっきからすごく、意味不明なことを言ってる耀。
どーゆう意味?それって、私のことが好きだって言ってるって捉えていいの?
それともただ、幼馴染が心配だっただけの兄的な目線なの?
そう思いながら耀を見つめると、あまり足元がしっかりしていない。
そりゃあれだけ飲んだんだし、そうなるよね。
「ちょっと、耀待って」
私はそう言って耀の左腕を私の首に回した。