完璧幼馴染の仮面が崩れるとき



「え?」


と私の隣の結花も私の視線を追って店の中を見る。



綺麗な深緑の服を着こなして、おしとやかに上品に笑う女性の向かいには、いつも私には見せない紳士的な笑顔でその女性の話に頷いている耀がいる。



『大切な話』



その言葉とその前の耀との甘い時間を直接結んでしまって勝手にいい話だと思い込んでいたけれど、

もしかすると、大切な恋人が出来たとか、もっと言えば結婚するつもりだとか…

そんな話だったのかもしれない。と言うより、そういう話なんだ。きっと。




そうだよね…。



『お前もいい男見つけて、落ち着けば?』



好きな女性にそんな言葉をかける男性なんていない。



きっとこの前のはずっと隣にいた幼なじみの私が心配だっただけ。
旅立つ寂しさを感じただけ。


それだけの事だったのかもしれない。


やっぱり変わってない。


私たちの関係性はなにも…。



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